今年は、さほどジメジメせず
あまり梅雨らしくない、過ごしやすい毎日を送ることができています。
さて、私の働く障がい者デイサービスでは、月ごとのカレンダーに塗り絵をすることが定番となりつつあります。
月ごとのカレンダーには、その月に関連したイラストが描いてあります。
実は、私はこの、出来上がった塗り絵をみるのが、密かな楽しみです。
先日、塗り絵に取り組んでいた、Aさんと私の会話です。
私「6月といえば、塗り絵のイラストはなんでしょうね?」
Aさん「お花かなぁ。6月といえば、んーと、あじさいやね。」
私「そうですね!色んな色があってきれいですよね。ここで、問題です!あじさいの葉っぱによくいるのは?」
Aさん「なんだっけ〜。」
私「こんな触覚があるの。」(頭に二本指を立てて、触覚を作ります)
Aさん「あ、かたつむりやね!この絵の通りやね。でも、あじさいの色って何色かなぁ?」
私「うーん、色々ありますものね」
Aさん「青かなぁ。紫かなぁ。」
短い色鉛筆が、缶いっぱいに入っている中から、Aさんの思う色を選ぶことが難しそうだったので
48色が横に整列して並ぶ色鉛筆を用意します。
Aさん「こっち(整列した色鉛筆)の方が選びやすいね。うーんこれ?やっぱり紫かなぁ。」
一緒に、薄紫、濃い紫、赤紫、青紫、藤色いろんなトーンの紫を選びます。
そしてAさんは、あじさいの花の一部は薄紫、右の半分は濃い紫というように
Aさんの感性のまま塗っていきます。
しばらくして、塗り絵のA4用紙の上に、たくさんの色をあわせもつ、綺麗なあじさいが塗り上げられました。
Aさんが色んな色から選んで、花びら一枚一枚に、好きな色をのせる、
Aさんという人が、紙の上で色鮮やかに、表現される感覚です。
それらのあじさいは、赤、紫、青、紫、であるべき、
そんな固定観念はとっぱらって、
私の知る、あじさいより、ずーっとカラフルです!
唯一無二の色彩感覚というのでしょうか!
モンテッソーリケアでは、「選ぶこと」が大切なテーマとされています。
ちなみに、先程のAさんのいた同じテーブルでは、
あじさいのイラストの上を、勢い良く、黒色で塗りつぶす方もおられました。
個性的なあじさいたちをみながら、
そういえば、みる時期によって、枯れている訳でもないのに、あじさいの花も色が違って見えることがあるなぁと思いました。
調べてみると、あじさいは、七変化(しちへんげ)と呼ばれることもあるそうです。
たとえば咲き始めは淡い黄緑色、それが青くなり、やがて赤くなり、最後は緑で終わるという具合です。
もしかして、人はみな、他の人には想像し得ない、
自分独自の色彩感覚で、色とりどりのあじさいを、みているのかもしれません。
そう考えはじめると、この方には、どんな風に世界がみえてるのかな?なんて楽しくなります!
あじさいの絵に限らず、
同じテーブルには、
マトリョーシカ(形を見て、日本のだるまと一緒や!と仰ってました笑)の塗り絵や
大好きな小鳥のイラストを、とても繊細なタッチで色塗りをされている方、
塗り絵に誘われたけどしない方、
皆さん、思い思いに、好きなことを、好きなだけ自分で選んで取り組んでおられました。
さぁ、今から塗り絵の時間です!あじさいを塗りましょう!というのではなく、
自然発生的に、私もしようかな、やめておこうかな、こっちの方がやりたいな
といったように、
それぞれ、違うことに興味を持ち、
自分のタイミングで、取り組める
取り組まないことも選べる
そんな当たり前のことだけれど、だからこそ、改めて大切なことだと感じます。
その人を「尊重」する上で、「選択」することは重要です。
今日も、塗り絵の中のあじさいは、カラフルにその方らしい色で咲き誇っています。