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失敗をしにくい環境づくり

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環境を整えることは、どんな障害特性に対しても有効な支援です。

少し配慮することで、不要な失敗や不安を防ぐことができます。

モンテッソーリケアでは、

いつもの場所に、いつものものがあることを、

秩序感と呼び、それが安心感につながる、としています。

今日は、自閉症スペクトラムの子どもや、認知症と共に生きる方々に対して行うことのできる

失敗しにくい環境づくりについて、お話していきたいと思います。

視空間的に整理する


空間の環境づくりでは、道具や場所を視覚的に整理します。

自閉症スペクトラムの子どもは、目から入ってくる情報を脳で処理する能力が優れていると言われています。

視覚優位にすることで、自閉症スペクトラムの子どもの得意な面を伸ばし、困難さを補うことができます。

(中には、聴覚優位の子どももいるので、自閉症=視覚優位というわけではありません。)

モンテッソーリケアでは、

色分け、標識(ラベル)をつける、作業の手順書を作る、パーテーションで区切る、など、様々なことを明確に示します。

そして、場所もわかりやすく案内(サイン)や矢印をつけ動線をわかりやすく表示します。

公共の場での、信号機の色分けや案内板などを想像していただくといいかもしれません。

そして、定位置に、必ずものがあるよう環境を整えます。

イメージとしては、おうちの感覚を思い浮かべてみてください。

使っていらっしゃる、もしくは以前使っていらっしゃった生活道具がそばにあることで、

例えば、はさみは、いつもあの引き出しの中に入れてある、という安心感を得ることができます

その定位置を忘れてしまう場合は、扉に中身がわかる写真を貼ったり、

文字と絵のラベルをつけたり、入れ物を透明なものに変え、わかりやすくします。

混乱を避けるため、ラベルやサインの位置や文字の大きさは統一すると良いとされています。

そして、外からの刺激をできるだけ少なくして、集中できる環境づくりを行います。

静かな場所で、勉強した方が、はかどる、というのは想像しやすいのではと思います。

できるだけ、気の散りやすくなるようなものは片づけます。

人的な環境を整える


また、人的な環境づくりも大切です。

サポートする側の「気付き」を育てるイメージです。

サポートを必要とされる方の不安を呼び起こさないよう、

曖昧な表現は使わない。

伝えるポイントはシンプルな言葉で、一動作ひとつに絞る。

ゆっくり、正確に示す。

良く見て、難しいところをハッキリさせる。

言葉だけでなく、動作や図 写真をみせるなどが挙げられます。

迷いにくい、失敗しにくい、急かさない環境を作ることを心がけます。

≪認知症≫何度も同じことを聞かれる時の対応例


認知症では、何度も同じ質問を繰り返して聞かれることが多いです。

例えば、「私のお風呂の日はいつだっけ?」と混乱される時、

月間カレンダーを活用すると効果的です。

カレンダーに、その方の見分けやすい、文字や図の大きさや色、記号で該当の日に〇をつけます。

「お風呂に入っていない!」と訴えがあった場合も、このカレンダーで一緒に入浴日を確認し納得されることもあります。

こういった訴えがあった場合、不安や不満、実際に身体的な問題を抱えている場合もあるので、

話をじっくり聞き、変化を察知することが何より大切です。

モンテッソーリケアワーカー:尾崎千種

私は、これまで、お薬を内服したか忘れて、何度も聞かれる方に対して、

お薬を内服月間カレンダーを作成したことがあります。

お薬の内服した後、〇を一緒に付け、

「わたしお薬飲んだっけ?」と聞かれる度に、冷蔵庫横のカレンダーの〇を一緒に確認。

2か月ほどされると、毎日の幾度もの繰り返しにより、

ご自身で冷蔵庫からお茶を飲むときにカレンダーで確認することが習慣化し、

質問回数も少なくなり、安心につながりました。

時間の流れや手順を整える


その人の一日の日課を決め、一日の流れを視覚化することで、不安を軽減します。

その際、「一日の流れ」がいいのか、「毎日のスケジュール」がいいのか。

その方の、理解につながりやすい言葉を確認した上で、言葉選びをすることも大切です。

この写真は、高齢者施設にて壁にスケジュールを貼る時に作成したものです。

こちらは、日々のルーティーンがある程度決まっている方々を対象にしているため、

すべての項目を模造紙に大きく、見やすく書き込んでいます。

今日やる事やそれがどの手順で行えばいいかがわかれば、自ずと安心感につながります。

(安心感がいかに大切かというのは、次回のブログのテーマになります。)

≪自閉症スペクトラムの子ども≫に対する「時間の教育」


毎日のスケジュールに多様性(通園や外出)がある、自閉症スペクトラムの子どもなら、

個別のホワイトボードやマグネットを活用します。

マグネットシートに、〇 月 × 日 「月カード」「日にちカード」

時計の写真をとった「時間カード」

ようちえんの じゅんびをする、あさごはん、あそぶ、のような「項目カード」を個別に作成します。

項目カードが言葉だけではわかりづらい子どもであれば、写真入りの項目カードを作成することも効果があります。

日々のスケジュールにあった項目カードを選択し、その子だけの「時間のスケジュール表」を

前日の晩に作り、子どもと共有、当日の朝にも一緒に確認します。

まとめ


こういった工夫がなされると、先程何をしたかを仮に忘れてしまっても、失敗しづらくなります。

そして、間違っても、誤っても、あの場所に〇〇がある、

これから行うことの先の見通しが、具体的に見えることで安心感につながります。

失敗しにくいこと・先の見通しが見えることは、自由にチャレンジできる環境づくりにつながると考えます。

失敗しにくい環境の元、何度も繰り返すことで習慣化され、徐々にできるようになる

それが、自立への第一歩と考えます。

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