いつのまにやら5月も後半に入りましたね🍀 この春、私はひとつの大きな節目を迎えました。
「介護保険給付縮小のもとでの軽度者支援の地域的再編」というテーマで修士論文をまとめ、大学院を修了いたしました。
研究と現場の最前線を行き来する中で見えてきた、これからの「生活支援」のあり方についてお話しさせてください。

■【問題提起】「少しの助け」こそが、制度の枠から外れる
今回の研究テーマを選んだ背景には、現場で感じていたひとつの切実な疑問がありました。 それは、「本当に少しの生活支援があれば暮らし続けられる人」が、今の公的制度だけでは支えきれなくなっているのではないか、ということです。
例えば、
- ゴミ出しだけが難しい
- 買い物に行くのが少し不安
- 一人でいる時間に、ちょっとした見守りがほしい
- 歩行が不安定だから散歩に付き添ってほしい
- 一緒に住んでいる家族の調理も、一緒に手伝ってほしい
こうした「軽い」の困りごとは、公的な給付の対象から外れます。
つまり、保険外サービスとは、これのような、制度だけでは支えきれない「少しの困りごと」に寄り添い、その人らしい暮らしを地域で支える存在でもあります。
■【背景】支援の主役が「公的」から「民間・地域・個人」へ
なぜ、こうした事態が起きているのでしょうか。 介護保険制度がはじまった2000年は「介護の社会化(家族の介護を社会全体で支える)」を掲げていましたが、その後の軽度の方の増加による財政の圧迫や介護に関わるサービスの担い手不足により、制度は改正を重ね、「より重度な方へのサービスを重点化」へと舵を切っています。
その結果、軽度の方の生活支援は、介護保険本体ではなく、市町村事業や地域支援へと役割が移行してきました。
そして制度上も、家族や地域の支えを前提とする側面が残るなかで、それだけでは支えきれない部分を、ご本人や家族の努力、地域のボランティア、あるいは私たちのような「保険外(自費)サービス」が補う流れが加速しています。
そして、その支援のあり方は、
・市町村の財政状況
・地域に担い手がいるかどうか
・家族が支援できるか
・経済的な余裕があるか
など、それぞれの地域や社会的な事情に大きく左右されています。
このような社会的背景のもと、今や保険外サービスは、単なる「介護保険で足りない部分を補うサービス」ではありません。
高齢者が住み慣れた家で、その人らしく最期まで暮らすための「なくてはならない存在」になりつつある。それが研究を通して得た確信でした。
■【現場】小規模保険外サービス事業者だからこそ、大切にしたい「信頼の輪」
しかし、民間の保険外サービスには課題もあります。 「どこなら安心して頼めるのか?」 「万が一の時に責任を持ってくれるのか?」 大手企業のようなブランド力がない小規模事業者にとって、「信頼の可視化」は避けて通れないテーマです。
そこで私は、「一般社団法人 小規模保険外サービス事業者団体」に加わりました。 この団体には、
- 第三者による質の保証(保険加入チェック等の認証制度)
- 横のつながり(仲間)による情報交換と、サービスの継続性の担保という小規模事業者を支える基盤があります。小規模だからこそ、万が一の際の横のつながりや支え合いが必要となってくると考えています。
私個人は、地域の相談窓口(地域包括支援センターや居宅介護事業所のケアマネジャー様など)とも連携しながら、「顔の見える、途切れない支援」を形にしていくことが重要であると感じています。
■【今後】「助けて」と言える力が、尊厳を守る
今後、公的な保障がさらに縮小していく中で大切になるのは、「自分で頑張る力」だけではありません。 できない部分を適切にプロへ頼る力、すなわち「受援力(じゅえんりょく)」を育むことが、これからの時代にはより重要になります。
そもそも、生活支援は、単なる家事代行ではありません。その人らしい暮らしの継続、つまり「人間の尊厳」を支える仕事です。
今回、加入している小規模保険外サービス事業者団体様よりご依頼をいただき、noteで「家事支援の国家資格化」や「これからの市場のゆくえ」を全4回の連載で詳しく執筆いたしました。ブログでは語りきれない「制度の変遷による影響」や「小規模事業者が生き残る戦略」を最近の話題のニュースと共に詰め込んでいます。
第1回目の記事はこちらからお読みいただけます。これからの地域福祉を考えるきっかけになれば幸いです。
ご興味があればぜひお読みいただけますと嬉しいです。
これからも、今回の修士論文の研究テーマを学会発表につながるように書き換えたり
地域の現場での経験や知見を積み重ねながら、引き続き学びを深めていきたいと思っています。
